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神遊 第34回公演
〜復曲能【箱 崎】 をもっと楽しくみるために〜
(文化庁平成19年芸術創造活動重点事業公演)
平成19年7月29日(日) 午後2時開演 (1時開場)
会場 水道橋・
宝生能楽堂
>>公演詳細ページ
チラシ裏面のPDF情報(ダウンロード)
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公演間近の神遊「箱崎」をもっと楽しんでご覧いただけるよう、能の舞台である筥崎宮を神遊が取材しました。
(club神遊会報17号より抜粋) 鑑賞の手引きに御笑覧ください!
【能「箱崎」のストーリー】
【舞台となる筥崎宮ってどんな所?】
【神功皇后って?】
【装束・作り物・面】
【戒定恵って?】
【四徳波羅蜜(しとくはらみつ)って?】
【世阿弥作『箱崎』の背景】
【ご神木「筥松」について】
【能楽体験講座「箱崎教室」を見学】
【筥崎宮 御鎮座地】
【和菓子 箱崎に寄せて】
博多湾へつながる筥崎宮の参道(写真左) お潮井(写真右)
【能「箱崎」のストーリー】
秋風が吹く頃、延喜帝(醍醐天皇)の臣下で『小倉百人一首』にも登場する名高い歌人・壬生忠岑(ワキ)は九州筥崎宮参詣の旅に出る。風光明媚な瀬戸内海を渡って筥崎宮に到着すると、月夜の晩だというのに二人の里女(前シテ・ツレ) が一本の松の木陰を掃き清めている。
不審に思って尋ねると、この松の一木は神功皇后が異国との戦いのためにこの地に下られた時に、戒(戒律)定(精神集中)恵(智恵・真理を見通す判断力)の三学の妙文(仏道修行のエッセンスが書かれた経文)を黄金の箱に入れて埋めたことから箱崎という地名がついた由緒ある松の木なのだと由来を教える。
さらに女は忠岑にこの箱を見せましょうと言って消え失せる。<中入>
吹き渡る松風と潮騒の音が混じり合いなんとも神々しい聖なる地に、神功皇后(後シテ)があでやかな姿で現れ、経典入りの秘密の箱をあけて経文を忠岑に見せ、天女の舞を舞い、再び箱は松の下に納まる。
【舞台となる筥崎宮ってどんな所?】
福岡市内にあり、またの名を筥崎八幡宮ともいいます。宇佐神宮・岩清水八幡宮とともに日本三大八幡宮の一つとされ、篤い崇敬を集めています。 鎌倉中期の元寇の際に亀山上皇が「敵国降伏」を祈願し、俗に云う神風が吹き未曾有の困難に打ち勝ったことから厄除け・勝運、海上交通・海外防護の神として信仰されています。
本殿から博多湾まで長大な参道が続いており(
↑写真
)、かつては白砂青松と謳われた美しい海岸線を誇っていました。 現在は埠頭や倉庫施設などが並び姿は一変していますが、参道の先にある海岸は清めの真砂を貰い受ける「お潮井とり」がおこなえるよう整備されています。
このお潮井(
↑写真)
は「災いを除き福を招くもの」として博多では古くより家や田畑に撒いて家内安全や豊作を祈願しました。 毎年九月に行われている放生会(ほうじょうや)は、命を尊び、海の幸・山の幸に感謝する祭りで福岡の三大祭の一つに挙げられます。
この時、本殿前で、二十六世観世宗家による『箱崎』の舞囃子を初回の能より毎年、奉納しています。
←ここで奉納されます
←奉納能の際はこちらに橋掛が設営されます
【神功皇后(じんぐこうごう)って?】
日本書紀などによれば201年〜269年まで政事を執り行い、お腹に子供(応神天皇)を妊娠したまま朝鮮半島に出兵したとされています。その時、お腹に月延石や鎮懐石と呼ばれる石をあててさらしを巻き、冷やして出産を遅らせたそうです。また神功皇后の腹帯(常陸帯)は安産にご利益があるとされ、鹿島神宮にお祀りされています。九州北部に数々の伝承が残っていて、シャーマン(卑弥呼と同じような巫女王)であったのではないかと言う説があります。夫である仲哀天皇は薩摩の隼人攻めをしようとした時、薩摩ではなく半島を攻めるべきとの神託を受けたのに従わなかった為、天皇は崩御したとの説も伝えられています。現在では実在説と非実在説が並存しています。
【装束・作り物・面】
(神遊公演チラシより)
前シテの里女は、少し見た目にも訳ありげな感じです。綺麗な紅段を巻いた玉箒を持ち、薄衣の袖無しといったなまめかしい出で立ちです。月明かりの中、恥ずかしそうにご神木の松を掃き清めています。松の作り物は、象徴的に造花で根曳の松とし、板垣で囲いをした上に注連を打ち御幣をつけたものです。後シテの神功皇后は両性具有的でもあり、男装の麗人といったイメージです。鎧を衣裳化した裲襠(リョウトウ)を舞衣の上に着用します。そして剣を帯び、勾玉を掛けて男のように髻(ミズラ)を結い、日月の前立てをつけます。
面は「神功皇后」という新作のもので、堀安右衛門氏の作です。シャーマンであるということで、増の面を基本に少し目元を強くしています。
他には玉手箱が出てきますが、金箔で箔打ちしたものに金銀のしずくが飛んでいる波の模様を描いており、京都の十松屋さんの手によるものです。神功皇后は海にまつわる伝説が多いのでそれを表現しました。この蓋を開けると戒定恵のお経が三本入っており、経巻の表側の色を三色に分けているのが特徴的です。
【戒定恵って?】
戒と定と慧。三学ともいう。仏道修行者の必ず修学実践すべき根本の事柄。非を防ぎ、悪を止めるのを戒、思慮分別する意識を鎮めるのを定、惑いを破り、真実を証するのを慧という。(仏教語大辞典より) 慧とは、禅定や三昧によって静められた心によって真実の道理をありのままに見抜く働きをいう。(仏教学辞典より)
【四徳波羅蜜(しとくはらみつ)って?】
波羅蜜とは、迷いの彼岸から悟りの彼岸に至る意味で、通常は菩薩がそのために修行する行のこと。 四波羅蜜・・・常波羅蜜(完全な永遠性)、楽波羅蜜(完全な安穏性)、我波羅蜜(完全な主体性)、浄波羅蜜(完全な清純性)の四つで、涅槃(さとり)に具わる勝れた特質(四徳)をいう。(仏教学辞典より)
【世阿弥作『箱崎』の背景】
世阿弥の『三道』において新作の本体(模範曲)とすべしと挙げられている自信作29曲のうち、神が出現する曲は7つあります。天女舞を舞って人気を博していた先輩能役者・犬王道阿弥の天女の舞を最初に取り入れたのが『箱崎』と『鵜羽』であり、二曲とも九州が舞台です。九州を舞台とする世阿弥の神能制作は、足利義満の幕政と密接な関係があると考えられます。当時幕府にとって九州は最も重要な外交問題とされ、平定することが最重要課題でもありました。遠い昔に「異国退治」に出向いて勝利を治めた神功皇后を、九州の玄関口である筥崎宮において神仏習合の立場で平和的に描いた能を作ったのも義満の九州平定を寿ぐためかとも推察できます。
【ご神木「筥松」について】
楼門右手の朱の玉垣で囲まれている松の木をさします。筥崎宮の伝承では単に戒定恵の三学とは言わずに、神功皇后が応神天皇を出産した際に、胞衣(胎盤と臍の緒)を箱に入れてこの地に納め、印として植えられたのがこの松とされています。ですので前シテの里女、すなわち神功皇后が恥ずかしそうにその松を掃き清めているというのは面白いシチュエーションになるかもしれません。
ご神木「筥松」
【能楽体験講座「箱崎教室」を見学】
筥崎宮の社務所において、神社ゆかりの能『箱崎』の一部を体験できる講座が開かれています。 九月の放生会の期間中に拝殿にて発表の場が設けられており、現在それにむけて皆さんお稽古に励まれていました。小中学生の部と一般の部に分かれ、観世宗家内弟子の坂口貴信さんが講師を勤められています。今回見学させていただいたのは学生の部で、小学一年生から六年生までの元気いっぱいの子供たちです。白足袋をはいてきちんと御挨拶をするところから始まり、大きな声で「願いもみつの〜光さし〜」と謡います。始めは恥ずかしがっていた子も、だんだんと最後のほうには大きな声が出せるようになり、先生の注意を聞き漏らすまいと真剣そのものでした。中には何期にもわたって参加する子もいて、無本で謡う姿は堂々としています。教室に参加した子供たちからまた別の子へと次第に輪が広がり、一つのコミュニティとして親しまれているようです。
(平成19年6月6日 福岡、筥崎宮にて)
坂口先生と子供たち(左) /お稽古が終わると皆で本殿へ向かい、お参りします。(右)
能楽体験講座「箱崎教室」(第5期)
会場:福岡・筥崎宮境内 社務所
講師:坂口貴信(観世流シテ方)
期間:2007年4月〜9月(全11回)
学生の部(17:00〜) 一般の部(19:00〜)
お問い合わせ先:「箱崎教室」実行委員会 TEL 092-725-1170
http://www.kanze.net
(観世文庫)
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筥崎宮
(筥崎八幡宮) ごあんない―
鎮座地:福岡市東区箱崎1-22-1 〒812-8655
電話:092-641-7431
交通:福岡市営地下鉄 箱崎宮前駅下車徒歩3分
JR九州 箱崎駅下車徒歩8分
http://www.hakozakigu.or.jp
【能『箱崎』によせて〜上生菓子 日本橋・玉英堂製】
神遊公演ではおなじみの、能の演目にちなんだ創作和菓子。
四個入り詰め合わせで、7月29日のみ、公演会場ロビーにて販売予定です。
こちらもお楽しみに!
写真左から・・・
・青海波の焼印に金・銀箔を散らして吹き寄せる松風、飛び散る波の様をイメージ。
・月明かりに照らされて浮き立つ松陰を、きんとんで。
・三色でこし餡を包み込み、三学の妙文を表現。
(いずれも阿波和三盆糖を使用。)
創業天正4年 日本橋人形町 玉英堂
人形町店:東京都中央区日本橋人形町2-3-2
電話03(3666)2625(日比谷線人形町駅 甘酒横丁交差点)
室町店:東京都中央区日本橋室町1-12-11
電話 03(3272)7065(半蔵門線室町駅A1出口より徒歩4分)
「箱崎」公演
お申込・お問合せ
神遊事務局 03-5227-1830(電話&FAX)
mail@kamiasobi.com
取材協力:筥崎宮、観世文庫、非常口Inc
参考資料:観世文庫自主公演・筥崎宮奉納公演プログラム
写真撮影・記事:鈴木翠(神遊スタッフ)
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